本稿は, 学会シンポジウム「ガバナンスの社会情報学—リスク・監査・アカウンタビリティ」において, コメンテーターとして発言した内容をふまえて, まとめたものである。本稿では,
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の立場からガバナンスを考えるが, とりわけ, 現代の民主主義におけるガバナンスを対象としている。
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では, 現代の民主主義において, どのようにガバナンスが機能するのかという問題が一つの論点となっている。もちろん, ガバナンスの研究が
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の専売特許であるというつもりはないが, ガバナンスという言葉に含まれる「統治」という意味合いが
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の主要なテーマであることを考慮すると, ガバナンスの社会情報学について考える際に,
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の立場から議論に加わることには意義があると思われる。本稿では, 「リスク」, 「監査」, 「アカウンタビリティ」という三つの点からガバナンスが機能しているのか否か, 機能する際に何らかの問題があるとすれば, それは何かを検討していく。それによって, ガバナンスという一つのキーワードを通して, 社会情報学と
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との結節点がみえてくるように思われる。さらにいえば, 社会情報学から
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への知的貢献も見出し得ると思われるし, 同様に,
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から社会情報学への何らかの知的貢献も見出し得ると思われる。
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